本論は、「我れは心において亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」(1)という結語をもって、政治・経済や思想・文化など一切の領域において「アジア」から離脱し、ついては中国起源の儒教思想を決定的に捨像し、あらゆる領域において ..
一、 はじめに 『源氏物語』のテクスト分析にあたって欧米の現代文学理論を大胆に採り込んでいる高橋亨は夕顔巻のクライマックスにあたる夕顔怪死事件の物語叙述を思ってであろう、この巻の物語叙述は「怪奇の物語...
日本中世の思想において、その思想内容と歴史的意義において最も重要と考えられるものは仏教思想であろう。かつて中世仏教を代表するものは所詮鎌倉新仏教であると定説的に考えられてきた。しかし今日では中世仏教の...
一 はじめに 本稿で扱おうとする中野重治の初期のプロレタリア小説とは、彼が本格的にプロレタリア文学運動に飛び込んだ後に、日本プロレタリア芸術連盟の機関誌であった「プロレタリア芸術」に載せられた『少年』...
よく知られているように、カントは「判断力批判」において、趣味判断を下すさいに関心が混入することを拒否し、いわゆる趣味の無関心性を要求している。つまり趣味判断は、無関心な満足に基づいて下されなければなら...
はじめに 日露戦争後の知的言説による朝鮮表象はさまざまな形態をとって編まれる。日韓合併にいたる対韓国政策論、自然発生的に広がる民間の殖民熱に乗じて生産される実業マニュアル、旅行・紹介記による観光案内、...
一 はじめに 明治初期から韓国併合にいたるまでの朝鮮、朝鮮人像は、あらゆる側面からその否定的な性質がとくに強調されてきた。そして、このような言説から、日本人像の陰画になる巨大な「悪徳」の朝鮮人像が創り...
前号に引き続き、トゥーゲントハット「論理学講義」(Ernst Tugendhat, Vorlesungen uber Ethik 1993)を紹介する。これまで、第一講義、第二講義、第五講義を、それぞ...
近代日本におけるキルケゴール思想の受容の跡づけをどのように捉えることができようか。このテーマに基づいた資料的研究が従来から断続的に行われてきたことは事実である。しかしそうした研究にあって、さらに受容の...
去る平成七年四月、歌舞伎座に「沓手島弧城落月」という芝居がかかった。記憶にある限り、約二千人の客席には立ち見も溢れ、異様な興奮状態のなか大向も幕が上がる前から「大成駒」と声を張り上げていた。場内が暗転...
目の前に自分の死が見えたとき、人はその死までの時間をどのように生きるだろうか。「平家物語」は、清盛という超越した個性によって急激に隆盛した力が、東国に蜂起した源氏勢に攻め滅ぼされるという平家一門の栄華...
ヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin,一八九二-一九四〇)はアナグラムに深い関心を寄せていたという(1)。アナグラムと直接関係があるかどうかは分からないが、ベンヤミンは著作の中に、し...
われわれ人間を世界内存在として規定するための方法論的通路としてハイデガーが選びとったのは、周囲世界ないし環境世界(Umelt)の分析である。われわれと世界との結びつきが不可欠であるということは、生きて...
はじめに 『人面疽』という作品は、一九一八(大正七)年三月、『新小説』に発表された短編小説である。この小説は、推理小説や探偵小説、怪奇小説などとさまざまに呼ばれる広い意味でのミステリー小説として評価...
環境問題に具体的な処方を提示するものとして、環境経済学が注目を集めている。本稿では、この新しい学問分野に焦点を当て、その考え方に含まれる問題点について検討することにしたい。環境経済学の根本にあるのは、...
自己を問うことは他者を問うことでもある。西欧近代思想において、世界認識の主体である近代的自己がその対象に何らかの異質性を認める20世紀以来、自己は他者との緊張関係において改めて主題化される。そこでは、...
一、 はじめに 『源氏物語』のテクスト分析にあたって欧米の現代文学理論を大胆に採り込んでいる高橋亨は夕顔巻のクライマックスにあたる夕顔怪死事件の物語叙述を思ってであろう、この巻の物語叙述は「怪奇の物語...
日本中世の思想において、その思想内容と歴史的意義において最も重要と考えられるものは仏教思想であろう。かつて中世仏教を代表するものは所詮鎌倉新仏教であると定説的に考えられてきた。しかし今日では中世仏教の...
一 はじめに 本稿で扱おうとする中野重治の初期のプロレタリア小説とは、彼が本格的にプロレタリア文学運動に飛び込んだ後に、日本プロレタリア芸術連盟の機関誌であった「プロレタリア芸術」に載せられた『少年』...
よく知られているように、カントは「判断力批判」において、趣味判断を下すさいに関心が混入することを拒否し、いわゆる趣味の無関心性を要求している。つまり趣味判断は、無関心な満足に基づいて下されなければなら...
はじめに 日露戦争後の知的言説による朝鮮表象はさまざまな形態をとって編まれる。日韓合併にいたる対韓国政策論、自然発生的に広がる民間の殖民熱に乗じて生産される実業マニュアル、旅行・紹介記による観光案内、...
一 はじめに 明治初期から韓国併合にいたるまでの朝鮮、朝鮮人像は、あらゆる側面からその否定的な性質がとくに強調されてきた。そして、このような言説から、日本人像の陰画になる巨大な「悪徳」の朝鮮人像が創り...
前号に引き続き、トゥーゲントハット「論理学講義」(Ernst Tugendhat, Vorlesungen uber Ethik 1993)を紹介する。これまで、第一講義、第二講義、第五講義を、それぞ...
近代日本におけるキルケゴール思想の受容の跡づけをどのように捉えることができようか。このテーマに基づいた資料的研究が従来から断続的に行われてきたことは事実である。しかしそうした研究にあって、さらに受容の...
去る平成七年四月、歌舞伎座に「沓手島弧城落月」という芝居がかかった。記憶にある限り、約二千人の客席には立ち見も溢れ、異様な興奮状態のなか大向も幕が上がる前から「大成駒」と声を張り上げていた。場内が暗転...
目の前に自分の死が見えたとき、人はその死までの時間をどのように生きるだろうか。「平家物語」は、清盛という超越した個性によって急激に隆盛した力が、東国に蜂起した源氏勢に攻め滅ぼされるという平家一門の栄華...
ヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin,一八九二-一九四〇)はアナグラムに深い関心を寄せていたという(1)。アナグラムと直接関係があるかどうかは分からないが、ベンヤミンは著作の中に、し...
われわれ人間を世界内存在として規定するための方法論的通路としてハイデガーが選びとったのは、周囲世界ないし環境世界(Umelt)の分析である。われわれと世界との結びつきが不可欠であるということは、生きて...
はじめに 『人面疽』という作品は、一九一八(大正七)年三月、『新小説』に発表された短編小説である。この小説は、推理小説や探偵小説、怪奇小説などとさまざまに呼ばれる広い意味でのミステリー小説として評価...
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自己を問うことは他者を問うことでもある。西欧近代思想において、世界認識の主体である近代的自己がその対象に何らかの異質性を認める20世紀以来、自己は他者との緊張関係において改めて主題化される。そこでは、...
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日本中世の思想において、その思想内容と歴史的意義において最も重要と考えられるものは仏教思想であろう。かつて中世仏教を代表するものは所詮鎌倉新仏教であると定説的に考えられてきた。しかし今日では中世仏教の...
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